NPO 特定非営利活動法人TEOS
国民の健康促進
医療法人 偕行会グループが提唱される、「医療の使命とは、人の尊厳の基礎となる「いのちと健康」を守ること」に賛同し、協力体制をとり活動を推進しています。
偕行会グループでは、今日の日本の大きな医療課題である「悪性腫瘍の診断・治療」と「認知症の治療・介護」の2つの分野に取り組んでおり、協力体制を取るとともに、セミナーや、シンポジウムを開催致します。
進行がん対策はあるか

現代では がんの治療は手術療法、放射線治療、化学療法(抗がん剤)が基本的な治療である。単独でこれらの治療が行われることもあるが併用療法(組み合わせはケースによって異なる)が一般的である。これらの治療法がより効果的になるのは、がんの早期発見である。早期発見はPET検査、内視鏡検査を組み合わせた健康診断が最も有効であり、それ以外では偶然に発見されることしかない。実際に治療後の生存率は年々進歩しており、前立腺がんでは5年生存率は100%に近い。
しかしながら、再発がんや進行がんも依然として多い。現在医師の世界では憂慮すべきことが起こっている。がんの治療では今日でも外科手術が第一選択である。現在の日本での外科的治療を続けるためには毎年全国の医学部、医科大学に1500人の若手医師が入局することが必要であるが、現状では800人にとどまる。

現在の若手医師はハードな労働を擁する診療科を敬遠する傾向にある。形成外科(将来は美容整形に転向)、皮膚科、眼科、放射線科を希望する医師は増加傾向にあるが、外科、内科、産婦人科、小児科などは減少傾向にある。診療科の偏在は国も頭を痛めている。
この状況が是正されないと10年後には公民を問わず地方の中小都市の病院では外科医の派遣が不可能になり、がんを含めた外科の治療が受けられなくなることは必須である。そうなると地方に居住するがんの患者は大都市の大病院に集中することになる。もとより大都市のがんの患者は地方都市より多いわけであるから、患者の手術待ちが増加することになる。待機中にがんが進行することは間違いない。そうなると進行がんが増加したり、待機中に死亡に至ることもあり得る。

国は何らかの規制をかけようとしているが職業選択の自由を医師は奪われることになり憲法違反になりかねない。さらに昨今では医学部入学の40%強は女性である。女性医師は大変優秀であるが、彼女たちは結婚、妊娠、出産を控える。現在医師になるためには6年の医学部在籍を経て国家試験に合格してもその後4年の卒後研修を経なければならず、現役で医学部を卒業しても独り立ちする時は30歳近くになっている。今後の結婚も考えると眼科、皮膚科、放射線科などの労働負荷の少ない診療科を選択せざるを得ない。労働負荷の大きい診療科は男性医師に依拠しなければならないが、男性医師も避ける傾向にある。従ってこの状況を放置すると日本の医療制度の崩壊につながることは必定である。
がんの患者の待機者が多くなると化学療法や放射線療法で対応できれば良いが(これでも患者増に対応できるか不明)、待機中のがんの進行を遅らせる治療が必要である。私どもの医療法人偕行会名古屋共立病院では進行がんの治療プロジェクトとして温熱療法と高気圧酸素を利用した治療法を現在積極的に行っている。いずれも保険診療で可能であるが限界がある。従って自由診療で3か月以上の温熱療法を行うことを勧めている。実際数は多くはないが、寛解に至ったケースもある。一般的には温熱療法は普及していないが。それは医師の間の中での認知度が低いことと、設備投資をしても不採算になるからである。これまで述べてきたように10年後のがん治療は画期的な治療法が生まれない限り近い将来深刻な事態となろう。
認知症について

2024年に国は認知症基本法を制定した。認知症はそれに羅患した患者本人の不幸のみならず家族、社会を巻き込んだ国家的な疾患であるからである。この対策をおろそかにすれば家族や国の崩壊につながる。
認知症は症状名であってその原因は多くあるが、基本的にアルツハイマー型が約7割を占める。アルツハイマー型は脳の萎縮と共に、アミロイドβが蓄積することにより生じる。その数の多さからアルツハイマー対策が最も重要である。認知症が何故国家的な対策が必要になるかといえば罹患患者数が膨大になるからである。2040年には認知症とその予備軍(MCIという)が3人に1人が罹患するからである。

2040年には認知症は584万人、MCIは613万人になると言われている。レカネマブというアルツハイマー型の薬剤が認可されたが、ごく初期でなければ有効ではないとされる。家族がおかしいと気が付いた時はすでに進行しているので治療の対象にはならない。従って一定の年齢に達したら(60歳)国民一人一人が主体的に健診をうけることが必要であるが経験的に言っても極めて困難である。誰でも認知症になる可能性があると考えて自らを守るという国民の意識改革が必要である。画期的な治療薬が発見されなければ認知症対策は診療より「ケア」が中心とならざるを得ない。認知症のケアは「グループホーム」や精神科病棟、老人保健施設、特別養護老人ホームなどがあるが、認知症の今後の発生の多さに比べれば収容数は圧倒的に少ない。それのみかそういった施設で介護に従事するマンパワーはその待遇の悪さから減少する一方である。従って認知症のケアは家庭に依拠せざるを得ない。一般家庭でケアをするとなると現代の二世代家庭では極めて困難である。従って高校生が家庭で介護するヤングケアラーや子供がいない家庭ではワーカーケアラーが生まれることになる。これは家庭環境が早晩破壊される。ワーカーケアラーはやがて職場を離れることになる。その数は今日300万人を超えるとされる。その数は一層増加するので日本経済に大きな影響を与えるし、国の存在も危機的になると言わざるを得ない。
- POINT
01
難聴にならないこと
- POINT
02
運動を日常生活の中に取り入れること
- POINT
03
多くの人との交流を深め
コミュニケーションを通じて
知的な活動をすること
ケアがこのような状況なのでできる範囲の中で予防的措置が必要であるが、一般的には上記の3項目がすすめられている。しかし〇〇的には一般の国民の認知症に対する知識や早期発見のための積極的な健診を受けることが肝要である。繰り返し言及するが認知症は本人ばかりではなく、家族に負担が大きいことを強調しておきたい。